保とは、たもつ/持ち続ける/守る/庇うなどの意味をもつ漢字。9画の画数をもち、人部に分類される。日本では教育漢字、常用漢字に定められており、小学校5年生修了レベルの漢字とされる。
字体 | 保 | |
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読み | 音読み | ホ 《外》ホウ |
訓読み | たも(つ) 《外》も(つ) 《外》やす(んじる) |
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部首 | 人部 | |
画数 | 総画数 | 9画 |
部首内画数 | 人部7画 | |
国語施策 | 教育漢字・常用漢字 | |
JIS漢字水準 | JIS第1水準 | |
漢字検定 | 漢検6級 | |
日本語能力検定 | JLPT N1 |
目次
書き方・読み方
書き方
読み方
『保』の字には少なくとも、保・ 保・ 保んじる・ 保つ・ 保つの5種の読み方が存在する。
意味
- たもつ。持ち続ける。守る。庇う。「保安・保健・保守・保身・保全・保存・保有・保養」
- やすんじる。助ける。養う。育てる。世話をする。「保育・保護・隣保」
- うけあう。引き受ける。「保管・保険・保釈・保証・保障・保留・担保・留保」
- 行政区画の単位。新しく開墾した土地の区画。郡または郷と同列。「保司・郡郷保」
- 《条坊制》都市区画の単位。坊を4区分した一区画。「一保・四保」
- 保【ほ】
-
- [歴]([中国語]bao)中国で、古くから行われた隣保組織の単位。ほこうほう(保甲法)。
- [歴]中国の制度をまねて、律令制で定めた隣保組織。
五戸で保を編成した行政末端組織で、保長は保内の相互検察(犯罪告発)や、逃亡戸の捜索、租税滞納の代納(連帯責任)、旅行者や宿泊者の告知などの義務を負った。
律令制の形骸化とともに平安後期には崩壊した。
「五保(ゴホ)」とも呼ぶ。ごにんぐみ(五人組)。- 秋田県の払田柵跡から保を記録した平安時代前期の漆紙文書(ウルシガミモンジョ)が出土している。ほったのさくあと(払田柵跡)。
保の用法:条坊制
条坊制【じょうぼうせい】とは、都城内地の利便性を向上させるために、街路を碁盤の目のように張り巡らせる都市計画および地割制度。藤原京・平城京・長岡京・平安京などに用いられている。京を東西南北に伸びる大路で区切った一区画を「坊」と呼ぶ。「坊」を南北に連ねたものも同様に「坊」と呼び、東西に連ねたものは「条」と呼ばれる。城によって「町」の分割区分が二行八門制や四行八門制などに分かれる。
名称 | 坊 | 保 | 町 | 行 | 門 |
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包括単位 | 四保 | 四町 | 二行・四行 | 八門 | 一門 |
保の用法:平仮名
平仮名【ひらがな】とは、ひらがなの由来・起源となった漢字。漢字を草書体にくずして書くことで平仮名が生まれた。
行/段 | あ段 | い段 | う段 | え段 | お段 |
---|---|---|---|---|---|
あ行 | 安 | 以 | 宇 | 衣 | 於 |
か行 | 加 | 幾 | 久 | 計 | 己 |
さ行 | 左 | 之 | 寸 | 世 | 曽 |
た行 | 太 | 知 | 川 | 天 | 止 |
な行 | 奈 | 仁 | 奴 | 祢 | 乃 |
は行 | 波 | 比 | 不 | 部 | 保 |
ま行 | 末 | 美 | 武 | 女 | 毛 |
や行 | 也 | 由 | 与 | ||
ら行 | 良 | 利 | 留 | 礼 | 呂 |
わ行 | 和 | 為 | 恵 | 遠 | |
无 |
保の用法:片仮名
片仮名【かたかな】とは、カタカナの由来・起源となった漢字。漢字を早く小さく書くために片仮名が生まれた。
行/段 | ア段 | イ段 | ウ段 | エ段 | オ段 |
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ア行 | 阿 | 伊 | 宇 | 江 | 於 |
カ行 | 加 | 機 | 久 | 介 | 己 |
サ行 | 散 | 之 | 須 | 世 | 曽 |
タ行 | 多 | 千 | 川 | 天 | 止 |
ナ行 | 奈 | 仁 | 奴 | 祢 | 乃 |
ハ行 | 八 | 比 | 不 | 部 | 保 |
マ行 | 末 | 三 | 牟 | 女 | 毛 |
ヤ行 | 也 | 由 | 譽 | ||
ラ行 | 良 | 利 | 流 | 礼 | 呂 |
ワ行 | 和 | 井 | 恵 | 乎 | |
尓 |
保の用法:地方行政区画
地方行政区画【ちほうぎょうせいくかく】とは、国を統治するために領土を細分化したもの。時代と共に土地の役割が集落区分・領地区分・徴税区分・地方行政区分として大きく変化してきた。
国評里制(645年ごろ) | ||||
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国 | 評 | 里・五十戸 | 戸 | |
大宝律令(五畿七道、国郡里制)(701) | ||||
畿・道 | 国(州) | 郡 | 里⇒郷 | 戸 |
荘園公領制(10 – 12世紀ごろ) | ||||
畿・道 | 国(州) | 郡・郷・保 | 惣・村 | |
荘(荘園) | ||||
太閤検地(1582 – 1598) | ||||
畿・道 | 国(州) | 郡 | 村 | |
府藩県三治制(1868)/廃藩置県(1871) 郡区町村編制法(1878)/市制及町村制(1888) 府県制及郡制(1890) |
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使(⇒庁)・府・藩(⇒×)・県 | 郡 | 町・村 | ||
市 | 区 | |||
東京都制(1943)・道府県制(1946) 地方自治法(1947) |
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都・道・府・県 | 市・区(特別区)・町・村 |
熟語
四字熟語
「保」の漢字を語中にもつ四字熟語2種を表にまとめる。
保養鬱散 | 明哲保身 |
保【ほ】
[歴]([中国語]bao)中国で、古くから行われた隣保組織の単位。ほこうほう(保甲法)。
[歴]中国の制度をまねて、律令制で定めた隣保組織。
阿保【あほ】
[漢]守り育てる。保育する。
「あほう(阿保)」とも呼ぶ。
谷保【やほ】
[Romaji]Yaho
東京都国立市(クニタチシ)中央部の地名。
[交]やほえき(谷保駅)
。
五保【ごほ】
[歴]ほ(保)
。
生保【せいほ】
生命保険の略称。
せいめいほけん(生命保険)
。
文字コード
「保」の漢字をコンピュータで取り扱うために策定された各文字規格を紹介する
Unicode 1 | U+4FDD |
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JISX0213 | 1-42-61 |
戸籍統一文字番号 2 | 008250 |
住基ネット統一文字 | J+4FDD |
文字ごとに採番された各種コードは、互いに異なる識別番号を持ち、管轄業務を担う省庁/団体/組織によって各用途ごとに管理されている。
検字番号
検字番号とは、各出版社が刊行した漢字辞典/漢和辞典に記載されている検索字を効率よく探すための識別コードである。
書籍 | 出版社 | 検字番号 |
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角川大字源3 | 角川書店 | 298 |
新大字典4 | 講談社 | 533 |
新潮日本語漢字辞典5 | 新潮社 | 389 |
大漢和辞典6 7 | 大修館書店 | 702 |
大漢語林8 | 大修館書店 | 384 |
辞書の巻頭や巻末、別巻などに記載された検字番号を用いることで、漢字の掲載ページ・掲載位置を容易に特定することができる。
国語施策
第5学年の配当漢字として公示される。
第5学年の配当漢字として公示される。
第5学年の配当漢字として公示される。
まとめ
「保」の画数・部首・書き順・読み方・意味について、もう一度おさらいする。
- 保の画数 :9画
- 保の部首 : 人
- 保の読み方:ホウ・ホ・やすんじる・もつ・たもつ
- 保の意味 :たもつ/持ち続ける/守る/庇う
ウサタロー